埼玉新都市交通(ニューシャトル)

ベルーナドーム2日目。朝からかなりの雨。まあドームなんで試合そのものは開催に支障はないが、それまでの時間のつぶしに困った。本来なら大宮の氷川神社、あるいは川越の街あたりを二時間くらいでぶらりと廻りたかったのだが、この天気であまり無理はしたくない。こういう時ちょっとしゃれた喫茶店あたりで読書、あるいは手帳なりノートを広げて思索に耽るみたいなことをしたいのだが、そういう(主にお店を見つけ出す)スキルが身についてないんだなあ…


新幹線が大宮に着く直前、あるいは(新潟に向かう時は)大宮を出た後、新幹線の線路の脇にマッチ箱のように小さな車両の鉄道が走っているのをご存じだろうか?

新幹線とは最寄りに駅があれば便利な代物だが、通過するだけならただ騒音をまき散らす箱でしかない。公害が社会問題化した70年代、東海道新幹線もその走行音が「騒音」として沿線住民によって集団訴訟が行われた。建設中の東北・上越新幹線においても住民意識は変わりなく、結局沿線対策として走行音と引き換えに利便を提供~大宮から南に埼京線、そして北に建設されたのがこの埼玉新都市交通(通称ニューシャトル)である。

しろねこ
しろねこ

能書きはさておき、カメさん、我々もその埼玉新都市交通とやらにのってみようじゃないか(十津川警部@三橋達也風)

まず荷物を新幹線乗り換え改札前のコインロッカーに預ける。大宮から新幹線に乗って帰る場合にベストな荷物預け場所。まあ大宮には死ぬほどコインロッカーがあるので、ここに預けられなくても困ることはないのですが…

JRの改札口からはやや離れたところに乗り場が。大宮の鉄道博物館もニューシャトルに乗っていくので「てっぱく通り」の名称が。

鉄道の街をアピールする大宮。

昔から鉄道の街というのは日本全国にあって新潟なら新津と直江津。なんでかというと結局はSLがあったころの名残で、SLは石炭と水がないと物理的に走れない。水は100キロも走れば尽きてしまうので、そこで石炭と水を補充済みの新しい機関車に付け替えるのが当時の合理的な車両運用方法だった。なのでだいたい100キロごとに車両基地=鉄道の街ができることになる。

今はほとんど電車化され、新幹線の延伸で乗り換えの人々でにぎわう駅というのも数少なくなった。そんな中ここ大宮は乗降、乗り換えの人々でにぎわい、現役の鉄道工場があり、そして鉄道博物館。今なお鉄道の街といえよう。

蛇足ながらそこまで鉄道の街を標榜するならサッカー大宮と千葉で本拠地を交換、ないしは親会社を交換して、鉄道色をバリバリに出したサッカークラブがあれば面白いと思ったり(マンチェスターユナイテッドは鉄道員発祥のクラブ) まあ歴史的に鉄道会社はプロアマ問わず野球なんだなあ…

話が飛んだ。数分歩いて乗り場に。時刻は9時を回ったころだが、休日のこの時間帯でも10分間隔。もうしばらくすると15分間隔に広がるが、それでもそれ以上には間隔が開かない。

大宮駅は終点だが、普通の鉄道のように折り返し式のホームではなく、ぐるっと一週ループして発車するような形。

なかなか前衛的なデザインの電車がやってきた。

車両は中央に出入りドア、5人掛けのロングシートが左右に並び5×2×2で座席定員20人の6両編成。空いているときなら2両でバス1台くらいの輸送量で、列車1本に付きバス3台分。ラッシュ時は1両でバス1台分くらい、よって列車一本に付きバス6台分←ここ重要

車窓は家並みが尽きない。ところどころ雑木林になるがほぼ都市化も完了してそう。もう片側は新幹線線路。時々猛烈なスピードでピューっと新幹線が通過していく。全線12.7キロ、12駅に停まって終点の内宿着。所要時間25分。1時間に直したスピードは時速30キロちょい(ほぼ越後線新潟-内野と同じ距離所要時間)

鉄道としては決して速いとは言えないが、バスだとおそらく倍の時間はかかるだろう。朝ラッシュだとさらに時間がかかって、何よりもバスの台数。この鉄道も朝は5分間隔=12本/時の列車が運行されるので12本×6=72台。これはもう鉄道じゃないと通勤輸送が成り立たないのだが、これでもなかなか経営が成り立たないんだなあ… 自治体やJR東日本から車両導入や駅施設などへ支援があって何とか成り立っている模様。

鉄道と確かに大量輸送と定時性に優れるが、一方莫大な初期投資と維持費がかかるというのは押さえておきたいところ。「新潟にLRTが欲しい」とか「○○線廃止反対」とかいうのは心情的には分かるが、結局経営が成り立つかなのよねえ。廃線に関してはJRも赤字額を問題視してるわけでなく、むしろ輸送量「この輸送量だったらバスでも運べるんじゃないですか」が意思決定の基準になっているようだ。

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