池袋散歩 #1 西武池袋店 私鉄文化の衰退

池袋ほぼ定刻着。雨がかなり強く振っており、雨除けでとりあえず手近な西武百貨店の入り口に入る。傘は適当に駅構内のコンビニかドラッグストアで買えるだろう。

西武池袋本店。横に横に増床をしていった結果、ウナギの寝床のような店舗に。逆にこの形状を頭に入れておくと、地下道と合わせて池袋のかなりのエリアまで濡れずに移動できることになります。

店内は大規模改修中で、細々と一部ブランドショップ等を入れて営業中。こんな殺風景なところで買い物(それもブランド品)をしたくなるのと思うが、やはりなじみの店員さんじゃないと… みたいな感覚なのかな。

報道等でご存じの通り、かつては日本一の売り上げを誇る西武の旗艦店だった同店も業績不振を受け、まず西武流通グループがそごうと合併して消滅。そごう・西武もいわゆる負け組同士の合併とあって業績が上がらず、セブン・アイHDの傘下に。さらにセブンアイから外資ファンドに売却され、ファンドはついに池袋店ビル不動産をヨドバシカメラに売却するに至った。

当然ビルを入手したヨドバシは駅直結の一等地に自社店舗を入れて、ビックカメラとヤマダの牙城である池袋の家電量販店に殴り込みをかける。

この事態を受けて豊島区長は「百貨店が抜けて家電量販店が入るのは街の格が下がる」とコメントし、また西武池袋店従業員は外資ファンドへの売却反対を訴えてストライキを起こした。

まあ業績不振の企業が手っ取り早く現金化できる資産を売るのも、買った側がどんな店舗を入れようがそれは自由でしょう。また区長もいいたいことは分かるが、これは行政側で口挟めることでもないなあ。

唯一気になったのが、最後のストライキを報じるニュースでの街の声「昔はよく行ってたんだけどねえ…」「あるといいんだけどねえ…」的なあまり切実ではない声ばかり。まあ百貨店自体毎日寄るもんでもないし、毎日寄ってればどこのマダムだって話になる。

ここまで実は前フリ

ところで皆様は「私鉄文化」「私鉄沿線文化」みたいな言葉を聞いたことがあるでしょうか? 日本の私鉄は線路を敷いて電車を動かして乗客を運ぶだけでなく、沿線に展開する様々な生活サービス事業を通じて住民の生活に密着しています。例えば

・お父さんは毎朝電車で都心の会社に通勤
・子供も高校生早ければ小中から電車で通学
・お母さんは駅隣の私鉄系列のスーパーで毎日のお買い物
・ちょっとした買い物は都心ターミナルにある私鉄系列の百貨店で
・休日のお出かけは郊外の系列遊園地かおなじく系列のプロ野球チームの応援
・夏休みの旅行も系列旅行代理店で手配

みたいな、すべてではないがかなりをその鉄道会社に依存する生活。このサービスに対する鉄道各社のちょっとした差が(実質本位の質実剛健なサービスだったり逆にちょっとハイエンドで上級さを醸し出していたり)その沿線の文化だったりイメージを規定するという論。

要は○○線は上級なお客さんが多いが、××線はその逆みたいな話です。

こういった鉄道会社に依存する生活が昭和の終わり? バブル崩壊? ぐらいまでは成り立っていたが、だんだん成り立たなくなってきた。

・スーパー:駅前スーパーよりもイオンダイエーなどの大型店、あるいは地場の専業スーパーの方が安くて品ぞろえ豊富
・百貨店:電鉄系よりも呉服系の百貨店の方がブランド力が強い。また価格を重視すればロードサイドの量販店に
・遊園地:東のディズニー、西のUSJにことごとく駆逐され閉園。残っているのはコンセプトを重視した尖った遊園地くらい。
・プロ野球:積み重なる赤字に耐え切れず、阪神西武以外は撤退。(かつては西鉄阪急近鉄南海東急が所有していた)
・旅行代理店:今やネット専業代理店の時代です

すべては「ライフスタイルの変化だねえ」で済む話で、時代についていけなかった事業が市場から退場していくだけではあります。

もっとも鉄道が生活産業に一切食い込まなくなったかというとそうでもなく、今でも形を変えて残ってるんですけどね。当時は法律で一切こういう事業が禁止だった国鉄がJRとなり、いまやエキナカでジャンジャン儲けて、あるいは駅という拠点を活かした保育園託児所のサービスだったり。腐っても配当を出して株価も吊り上げないといけない上場企業なだけあって、時代の変化に合わせてどんどん変化している印象。

ただこういう文化に幼少時からずっぽし浸っていたワシが過去を振り返って、なくなっていくものがただ感情的に寂しいという話なわけなんですが。

西武百貨店のロゴ。なんつってもこれ。特に下のロゴは黄金期西武のユニフォーム袖にも入っており思い入れは強いです。球団を所有する西武鉄道と西武百貨店は近くて遠い兄弟グループという位置づけだったのですが、そこはまたいつか機会があったら。


傘を探している最中に池袋駅構内でお昼。イスとテーブル付きの銀だこで生ビールまで付けて。かつて高校生や大学生の時分、500円玉握りしめて小汚いスタンド形式の飲食店でとにかく腹に溜まって味など二の次三の次みたいなご飯をわしわしとかきこんでいたなあ… という遠い思い出。

コメント

PAGE TOP