贔屓とかあんまり関係なく、日本の野球シーンで面白い試合といわれるとワシはこの3つを推す
(1)夏の高校野球県大会準決勝・決勝
(2)東都大学リーグ1部2部入れ替え戦
(3)都市対抗地域二次予選
まあ(1)は多くの方にご賛同いただけると思う。(ただ負けた方の気持ちを思うとワシは見れないなあ… 甲子園の本戦なら多少余禄みたいなものなのでのんきにテレビで見れますが)
(2)も昔あったJ1とJ2の入れ替え戦を想像すればお分かりだろう。とにかく一部と二部で環境もメディアの取り扱いも記録も全く異なる
そして(3) 多くのというかすべての社会人野球(企業)チームは、夏休み東京ドームにて行われる都市対抗野球大会の優勝、出場を目指している。優勝は勝負運もあるだろうから、出場が最低ノルマ。いい大人の会社員だから「負けたらクビ」みたいなことにはならないが、それでも一年間の成果が「なし」とされるのは、会社員としてたまったものではなかろう。
そんな「勝てば天国負ければ地獄、知力体力時の運、早くこいこい木曜日」みたいな試合が繰り広げられるのが各地区の最終予選。特に今日の試合は勝てば西関東の最後の代表枠に滑り込んで東京ドームでの本戦出場、負ければ敗者復活枠もなく予選敗退とまさに天国と地獄を分ける一戦なのです。

ハマスタはなんといってもこの「街中感」がいいっすね

日産自動車の経営を巡るあれこれは皆さん報道で聞いているだろう。先日野球部の活動拠点である追浜工場の閉鎖まで発表された。さらに野球部は09年に休部したものをわざわざ今年再開させたばかり。なんというめぐりあわせ… もうこれだけでなんか小説なりマンがなりフィクションのネタになりそう。
東芝も東芝でまあいろいろありながら、バスケをDeNAに売り払ったり、それでも何とか野球部の活動を続けている。
そんな事前の情報量がてんこ盛りで、もはやオーバーヒートしそうな一戦。
まずは日産が鮮やかな先制攻撃、1回裏先頭宮川がレフト線に二塁打で出ると、続く朝岡も強攻して中前にはじき返して宮川をホームに迎え入れる。やっぱ初回先頭二塁打は絶対強攻派です。というか強攻できるくらいの攻撃力はある程度のレベルのチームなら持っててほしいです。
対する東芝も3回表。8番!長沢がライトスタンドに放り込むと、連打で逆転に成功。日産も4回に1点を取って追いつくと五分のまま5回を終了。最終決戦にふさわしいいい試合になってきた。
試合が動いたのは6回表。ヒット、ランエンドヒットで無死一三塁。打者は第一打席に本塁打を打っている長沢。日産も左の友野にスイッチ。ここで長沢はスクイズを仕掛けてくるも二度ファウル、強攻に切り替えるが三振。
東芝は4回の一死二三塁も内野ゴロ→ゴロゴーで本塁憤死しているし、ここでチャンスを逃すと日産にチャンスが行くかなあ… と見ていたのだがそうは問屋が卸さなかった。
9番主将の中村がきっちり左中間を破る二塁打で勝ち越し点、トップに帰って山田も続いてこの回2点目、さらにディレイドからの重盗を仕掛けると本塁送球がそれ、大きな3点目が東芝に入った。
東芝は8回にも5安打を集中してダメ押し点。日産も7~9回に4安打。きわどい内野ゴロにはすべてヘッスラでいくなど、必死の反撃を試みるが反撃及ばす。東芝が7-2で日産を下して、西関東地区第二代表の座を勝ち取った。

まず野球だけの感想。前半は五分でどっぷり組み合うも、後半に地力というか、東芝の点を取りにいくあれやこれやの戦法を日産が受けきれなかったという印象。日産は先述の通り今年から復活した野球部で、メンバーも茨城日産から移籍した2年目の主将以外は全員新人選手で構成されている。その辺の若さがチームの強さになり切れなかった。
やっぱチームって主将、投打の柱、百戦錬磨のベテラン、勢いに乗ると怖い若手、様々なメンバーがそれぞれ自分の役割を存分に果たしたとき強いんだと思います。8回に代打で出てきて、タイムリーで6点目をただき出した諸橋選手の塁上での爆発っぷりなんかはまさにその象徴。
その辺若い日産はまだまだ発展途上感があった。もっとチームが成熟していたら、6,8回の受け身一方の展開をもっとうまくかわして最少失点にとどめ、反撃の機会をうかがうなんて展開もあったかもしれない。

次にスタンド風景。東芝(川崎市)、日産(横浜、横須賀市)ということもあってたくさんの応援団が球場に駆け付けた。18時に開始して19時、20時になってもどんどん席を埋めていく。まあ会社から動員令が出てて、仕事が終わり次第駆け付けたのだろう。あとはどっちにとの位動員力があるのかはわかんが、6:4あるいは6.5:3.5で日産がスタンドを埋めた感じ。やはり16年ぶりに復活した野球部にかける社員の期待も大きい。
多分あまり社会人野球に興味ない方からみれば「なんで自分が勤めてるわけでもない(それもかなりの大会社の)チームを応援しないといけないんだ?」みたいな反感みたいなものもあるかと思う。自分はかなりおめでたいタチで「これだけ立派な会社で普段大変な仕事してる人たちが、こんなに一体になってたかが野球を応援してるのみてると、日本の野球(あるいは対象をでかくして日本社会)も悪くはないな」くらいの感覚なのです。
サッカーの日本協会がすべての大会を管轄している一本筋の通った美しさもありですが、日本野球のどの団体がどこを管轄してるのかよくわからないんだけどそれでも各シーンが面白い、というのもこれはこれでありだと思う。
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