
書評 #7-1 栄光のバックホーム(中井由梨子) 11/28劇場公開 の続き
そしてワシらの世代だと横田選手と合わせて思い出すのが、同じく脳腫瘍でこの世を去った津田恒美投手。こちらも何度か映像化されている。時系列でちょっとまとめておくと、
年月 | 事項 |
94/5 | NHKスペシャル「もう一度、投げたかった」放映 視聴率は首都圏15.6%。広島県42.7% |
94/9 | 同番組の書籍化 |
95/6 | 「最後のストライク(津田晃代)」発行 |
00/7 | ドラマ「最後のストライク」放映 |
ドキュメントもドラマももちろん見た。
特にドラマの方、津田役を岸谷五朗、晃代夫人役を石田ひかりが演じる。笑いあり涙あり、ただ最後はやはり大泣きしてしまう。ストーリーというのは悲しい本筋だけをストレートにつなげていくのもありだが、それよりも喜怒哀楽色々入れて緩急をつけると、より深くなる(と思う。)
ここでは選手時代の栄光とか、闘病生活。そういったところが本筋なのだろうけど
・無二の親友森脇(演:石黒賢)
・二人の仲を取り持つ一個上の先輩川端(初対面の奥様に連絡先を聞くのも、デートの約束を取り付けるのも、恥ずかしがり屋の津田はいつもこの先輩に頼っていたらしい)(演:羽場裕一)
・初白星を津田の救援失敗で消され、30分ごとに部屋に謝りに来られ、最後は二人で近所の公園に原チャリで繰り出し、グルグルとバカみたいに廻って、最後は「勝ち星なんか人生においてちっさいもんじゃ」と二人でばか笑いする一個下の後輩清川(演:西村和彦)
特にこの年が近い同僚三人での青春群像みたいなシーンがワシは面白かった。
そういった観点で「栄光の~」の予告編を見ると、興味を引く個所は0:24~ 未来を担う若トラたちが川沿いで花火を見上げるシーン。なぜかユニフォーム姿というつっこみは置いといて、背番号から登場人物は67岩崎、17岩貞、44梅野、24横田、2北条、そして9高山。高山選手でるんかい。俳優は誰が当てられ、どんなセリフがあるのか、ないのか? いっそ本人役を本人で、プロではないので壮絶な棒読みというのもありか? (津田のドラマでも山本浩二氏、川端順氏、清川栄治氏がカメオ出演)
また伊原六花が「横田の想い人」という設定でキャスティングされており、(原作にはない)そういうエピソードも入るのかと思うとここも興味深い。キャスティングの解説記事はこちら。
さてもう一回津田投手の方に戻ると、余命数ヶ月もって今年(91年)いっぱいと宣告された津田氏は奇跡の回復を遂げ、退院、そして現役復帰に向けてトレーニングできるまでになる。ここで親友森脇氏の「俺の給料を半分にしてでも、ダイエーに入団できるよう掛け合ってやる」が飛び出すわけです。
結末は皆様ご存じの通り、また病状が悪化して闘病むなしく32歳にて生涯を終える。
クライマックスは危篤状態に陥り、意識も失った津田氏に奥様が呼びかけるシーン
「ツネちゃん、もう楽になっていいよ。今まで頑張ってくれてありがとう」
当時もそれなりに泣けたのですが、今回の横田選手の方が泣けるのは、よりおっさんになって涙腺が弱くなったんでしょうね。津田選手の方も原作を何十年ぶりかというぐらいに開いたのですが、やはり最後の奥様の呼びかけでボロボロになりました。
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