雑誌評 #1 週刊文春(25/6/19号) ミスターよ、永久なれ

6/3のミスター逝去を受け、週刊誌はだいたいこのくらいのレスポンスで特集が組まれて書店に並んでます。まあ総合週刊誌は頑張ってもこのスピード感なので時事ネタはやはり苦しくて、それはスクープ頼りになるねえ…

今回購入したのはこの記事が気になったから。

・1998年解任騒動の秘話開封 ナベツネの策略と森祇晶の豹変(鷲田康)

98年のシーズン終了間際、「今シーズン限りで長嶋監督は辞任、後任に前西武監督の森祇晶氏就任」という一騒動が起こったのを覚えている方はいるだろうか。

このシーズンの巨人は開幕5連勝を飾ったものの、その後は好調が続かず6月までYB,D,Cとの四つ巴。そこから広島、巨人が順に脱落していったというペナント展開。決定的だったのが7/31阪神戦。いわゆるガルベスが審判にボールを投げつけた日です。ガルベスは残りシーズンを出場停止処分。ローテの柱を一人失った巨人はこれでほぼシーズン終了。長嶋監督が後日丸刈りにして謝罪の意を示す。

さらに話は進んで

長嶋監督はガルベス事件の責任で辞表を提出、「これは解任ではなく辞任である」と大義名分を得た読売新聞本社は長嶋から森への監督交代構想を進め始める。話は着々と進みほぼ内定となるが、9月上旬まずスポーツ紙が「巨人森新監督」をスクープ。一般紙も続く。そのまま既定路線となるはずだったのが事態は一転して長嶋続投、森氏も監督就任を改めて否定という形で落ち着いた。

以後、長嶋監督は00年ON決戦を制して二度目の日本一。01年に勇退して原辰徳に監督の座を譲位して終身名誉監督に… というのがざっとした史実。

この辺の裏事情を元報知記者である筆者が振り返ったもの

・マスコミにリークしたのは森氏本人らしい(話を既成事実化したかった?)
・この話に長嶋氏も猛反発、続投の意思を示す(野球観の違いとぼかしているが、当人同士あまり相性も良くなかった?)
・1次政権時にも起きた解任によるファンの反発は大きく、読売サイドも翻意せざるを得なかった

この辺は週刊誌なので信じるも自由、信じないも自由だが、ワシが一番思いを馳せるのは「ここで森巨人が誕生していたらその後の巨人軍、いや球界はどうなっていたか?」

86-94年の9年間西武の監督を務め、優勝8回、日本一6回と抜群の実績を残して退任した森氏。この時点(98年)において、在野で最も優秀な監督候補なのは言うまでもない。一方で長嶋氏と比べて人気の差はいかんともしがたく、目指す野球のスタイルも華やかでファンに魅せる長嶋野球と、とにかく堅実で確実に勝つ森野球と正反対。この森野球が巨人に移植されたらさあどうなってたか? それでも清原・松井・高橋らスターはそろってたわけで、勝ってれば川上野球の再来みたいな感じでそれはそれで受け入れられたような気はするんですけどね。

こうして「日本野球の歴史のif」もたまに考えると面白いものです。

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